浅川雅嗣(あさかわ まさつぐ)
浅川雅嗣氏は、アジア開発銀行(ADB)総裁兼理事会議長を務める。浅川氏は、ADBの加盟国財務大臣等で構成される総務会によって同行総裁に選出され、ADBの第10代総裁として、2020年1月17日付けで着任した。
ADBについて
ADBは、極度の貧困の撲滅に努めるとともに、豊かでインクルーシブ、気候変動や災害等のショックに強靭で持続可能なアジア・太平洋地域の実現に向け取り組んでいる。ADBは1966年に創立され、49の域内加盟国・地域を含め68の加盟国・地域によって構成されている。
浅川雅嗣氏は、アジア開発銀行(ADB)総裁兼理事会議長を務める。浅川氏は、ADBの加盟国財務大臣等で構成される総務会によって同行総裁に選出され、ADBの第10代総裁として、2020年1月17日付けで着任した。
浅川雅嗣(あさかわ まさつぐ)氏は、アジア開発銀行(ADB)総裁兼理事会議長を務める。浅川氏は、ADBの加盟国財務大臣等で構成される総務会によって同行総裁に選出され、ADBの第10代総裁として、2020年1月17日付けで着任した。浅川氏は、2021年8月に再選され、総裁として2期目を務めることとなった。新たな任期は、2021年11月24日から5年間である。
浅川氏のリーダーシップの下、ADBは、200億ドルの包括的な支援パッケージ並びに90億ドルのアジア・太平洋ワクチンアクセスファシリティなどの支援を通じて、地域の新型コロナウイルスのパンデミックへの対応や復興に向けた計画作りに多大なる貢献を果たしてきた。浅川氏はまた、この地域の低炭素化に向けた取組みを促進するエネルギー移行メカニズムなど、一連の新たな革新的資金イニシアティブの展開に重要な役割を果たしてきた他、ADBが気候変動との戦いに引き続き注力する中で、気候変動ファイナンスについての2030年までの目標を、累計1,000億ドルに引き上げた。
浅川氏は、ADB総裁就任前、内閣官房参与兼財務省顧問を務めていた。浅川氏は、40年近くにわたり、財務省において国内外におよぶ幅広い経験を積んできた。
浅川氏は、世界金融危機直後の2008年11月に開かれたG20初の首脳会合に、麻生総理大臣(当時)の秘書官として参加し、日本から国際通貨基金(IMF)への1,000億ドルの融資を含む、金融危機を緩和するための世界的な協調資金パッケージのとりまとめに尽力した。2016年には、日本議長下で開催された仙台でのG7財務大臣・中央銀行総裁会議に関して、財務官として主導的な役割を果たし、持続可能でインクルーシブな開発に関する幅広い議論に貢献した。
また、日本議長下で行われた2019年のG20大阪サミットおよび福岡で開催されたG20財務大臣・中央銀行総裁会議では、財務大臣代理を務め、その成功に主要な役割を果たした。浅川氏の優れた業績として、G20首脳により「質の高いインフラ投資に関するG20原則」および「途上国におけるUHCファイナンス強化の重要性に関するG20共通理解」が承認されたことなどが挙げられる。また、浅川氏は、長きにわたり財務省において、開発政策や外国為替市場、国際租税政策を担当する課長職などの要職を歴任してきた。
浅川氏の経験は日本政府にとどまらず、特に1989年から1992年の間、垂水公正ADB総裁の首席補佐官を務め、戦略的政策立案を担当する部署の創設などを主導した。また、経済協力開発機構(OECD)との関わりも深く、2011年から2016年まで租税委員会の議長を務め、さらに、1996年から2000年まで審議役としてIMF財政局に勤務した。その他、浅川氏は客員教授として、2006年から2009年まで埼玉大学で、また、2012年から2015年まで東京大学で教鞭をとった。
1981年に東京大学経済学部卒業。1985年に米プリンストン大学にて行政学修士。
浅川雅嗣ADB総裁は、経済同友会主催の「日・ASEAN の未来価値共創に向けて ~サステナブルな社会の構築と人づくり」をテーマとした、第48 回日本・ASEAN 経営者会議(AJBM)の開会式にオンラインで参加し、基調講演を行いました。その中で浅川総裁は、インフラや社会開発、気候変動など多くの分野での、ASEAN諸国に対する過去50年に渡るADBの支援について紹介しました。 2000年から2022年11月までの間に、二国間および多国間のドナーとともにADBは、東南アジア諸国に対して約746億ドルの融資やグラントを供与しました。こうした支援は、東南アジア諸国の経済変革と重要な政策改革を支え、特に貧困層や社会的弱者、女性や少女など、すべての人々の生活水準の向上や様々な機会の提供に貢献しています。開会式では、櫻田謙悟経済同友会代表幹事から開会の挨拶があり、髙木啓外務大臣政務官より、岸田文雄内閣総理大臣の祝辞が代読された他、中谷真一経済産業副大臣およびトゥイ・リー駐日カンボジア大使、それぞれが祝辞を述べました。AJBMは、1974 年に経済同友会の提唱により設立された日本とASEAN の企業経営者による民間国際会議で、ASEAN における地域経済統合の側面的支援、日本とASEANの民間交流、特に経済関係の強化や深化を目的に開催されています。
浅川雅嗣ADB総裁は、2022年11月15日〜16日にかけてインドネシア・バリ島で開催されたG20首脳会議に出席。浅川総裁は、食料およびエネルギー安全保障を議題としたセッションに参加し、エネルギー・トランジション・メカニズム(ETM)に関するインドネシアとの協力など、クリーンエネルギーへの移行の促進のためのADBの取り組みについて紹介すると共に、今年9月の第55回ADB年次総会で発表された、140億ドルの支援パッケージを通じた開発途上加盟国の食料危機の緩和および長期的食料安全保障促進支援に関するADBの強いコミットメントを示しました。また、デジタル・トランスフォーメーションのセッションでは、デジタルデバイドの解消の重要性を指摘しつつ、この分野におけるADBの取り組みについて説明し、B20サミット(G20ビジネスサミット)において、基調講演を行いました。
浅川雅嗣ADB総裁は、10月12日〜25日にかけて米国首都ワシントンDCを訪問。ジョン・ケリー米気候問題担当大統領特使と会談し、ADBの気候ファイナンスに関する革新的な取り組みについて紹介し、気候変動分野における米国とADBのパートナーシップを今後さらに深化させていく方策について議論しました。アレクシア・ラトルチュ米国財務次官補(国際貿易・開発担当)との会談では、気候ファイナンスに加え、ADBのセーフガード政策の改定やアフガニスタンへの支援について話し合いました。また、G20財務大臣・中央銀行総裁会議に出席した他、デイビッド・マルパス世界銀行グループ総裁やアヒム ・シュタイナー UNDP総裁、アロック・シャルマCOP26議長、その他国際開発金融機関(MDBs)の総裁と会談し、食料安全保障や気候変動などの世界的な危機に対応するためのADBの取り組みについて、パートナーシップに焦点を当てた議論をしました。さらに、インドネシア、キルギス、パキスタンなどADBの開発途上加盟国の首脳とも個別に会談しました。
浅川雅嗣ADB総裁は、NHKのインタビューに応じ、アジア・太平洋地域の経済見通しとともに、スリランカが抱える債務問題や救済のためのADBの取り組みについて解説しました。ADBは、中央銀行による金融引き締めの強化やロシアによるウクライナ侵攻の長期化の影響、また、中国における新型コロナウイルス対策のための度重なるロックダウン措置などの課題が山積する中、アジア・太平洋地域の開発途上国の経済見通しを再び下方修正しました。NHKのニュースサイトの記事および動画とNHKワールドのニュース動画をご覧いただけます。
浅川雅嗣ADB総裁は、8月4日に岸田文雄首相と、8月2日に日本の ADB 総務である鈴木俊一財務大臣と面会し、アジア・太平洋地域の経済見通しや同地域における様々な課題について話し合いました。それらの会談では、グリーンでインクルーシブ、そして強靭性のある回復を後押しするための緊急な気候変動対策の必要性、そしてその実現に向けたADB主導のエネルギー・トランジション・メカニズム(ETM)などの革新的な気候変動ファイナンスが果たすべき役割について、認識が共有されました。また、浅川総裁は、7月28日に、山際大志郎経済再生担当大臣と会談し、今後の経済成長に対するかつてないほどの気候変動の脅威の高まり、そしてアジア・太平洋地域の『気候バンク』としてのADBの役割について説明しました。これらの一連の会談において浅川総裁は、ADBの取り組みに対する日本の強力な支援に対して感謝の意を表明しました。また、岸田首相、鈴木財務大臣および山際大志郎経済再生担当大臣からは、浅川総裁のリーダーシップの下、同地域の喫緊の課題に取り組むADBに対し謝意が示されました。