インサイドADB

「インサイドADB」ではアジア開発銀行(ADB)で活躍する日本人職員や関係者の声をお届けします。現在ADBで働く国際職員数は1,300人あまりで、2020 年12 月末時点で25名の幹部職員を含め、全国際職員の10.86%に相当する143人の日本人職員が活躍しています。多くの職員は本部があるフィリピン・マニラやアジア・太平洋各国にある現地事務所などで働いており、その経歴、職種、職務環境は多岐にわたります。ここでは、ADBの日本人職員や関係者のインタビューを通じて、アジア・太平洋地域におけるADBの役割や目的、そしてADBで働く面白さややりがいなどについて私生活の様子を交えてご紹介します。

  • 経済調査・地域協力局エコノミストの吉川愛子さんに聞く 2022年9月30日 | Inside ADB

    経済調査・地域協力局エコノミストの吉川愛子さんに聞く

    パンデミックの発生を受けて多くの外国人出稼ぎ労働者が職を失った他、解雇された外国人労働者の強制送還や受入国での足止めなど、労働者を取り巻く状況は非常に厳しいものとなりました。海外出稼ぎ労働者数は一時的に大幅に減少し、そこから派生するマクロ経済や海外送金に依存する貧困家計への影響など、この問題をより明確にするためのシミュレーションを地域の研究者と協力して行いました。

  • ベトナム事務所副所長の三橋慶樹(みつはし・けいじゅ)さんに聞く 2022年7月27日 | Inside ADB

    ベトナム事務所副所長の三橋慶樹(みつはし・けいじゅ)さんに聞く

    ベトナムは新型コロナの影響で2020〜2021年の経済成長率が2%台に失速したものの、2030年には高中所得国、そして、2045年には高所得国入りを果たすという目標を掲げており、6〜7%の高成長路線を辿っている新興国です。2016年以降、公的債務を抑制するための政策が実施されたことや、2019年には、ADBの譲許的借款対象国から卒業した結果、対ベトナムのソブリン業務に係る戦略の見直しが急務となりました。一方、ノンソブリン業務は順調に伸び続け、既往案件のポートフォリオを拡充し始めたことから、ベトナム事務所では、新たにノンソブリン業務のポートフォリオ管理を担うユニットを設置し、迅速な顧客対応ができる体制を構築しました。

  • 中央西アジア局環境・自然資源・農業担当課首席ポートフォリオ管理専門官の戸塚奈津子さんに聞く 2022年5月23日 | Inside ADB

    中央西アジア局環境・自然資源・農業担当課首席ポートフォリオ管理専門官の戸塚奈津子さんに聞く

    開発途上国の社会や経済の長期的な発展に多少なりとも貢献できることがこの仕事の魅力です。例えば、バングラディシュやインドの洪水対策に係る案件では、河川の護岸や堤防を建設しました。頻繁に洪水に襲われるために広大な空き地になっていた場所が、堤防の建設が終わると、食品から市民の生活用品、衣料品などのお店が立ち並ぶ大きな市場へと変貌し、大勢の住民らが訪れ、大賑わいになっているのを目の当たりにして驚きました。

  • 会計局上級財務管理専門官の松林理絵さんに聞く 2022年5月19日 | Inside ADB

    会計局上級財務管理専門官の松林理絵さんに聞く

    最近のホットトピックといえば気候変動に関する取り組みではないでしょうか。近年では、気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-Related Financial Disclosures:TCFD)にのっとった気候関連財務情報報告書が民間企業だけからではなく、欧州復興開発銀行(EBRD)等の国際開発金融機関(MDBs)や欧州投資銀行(EIB)からも発行されており、ADBも2021年にTCFDイニシアチブに賛同しました。

  • 持続的開発・気候変動局首席自然資源・農業専門官の片上美知子さんに聞く 2022年4月22日 | Inside ADB

    持続的開発・気候変動局首席自然資源・農業専門官の片上美知子さんに聞く

    バングラデッシュやインドでは、零細農家が協力しあう農業グループを対象に、ICTを駆使したビジネスソリューションに係る提案を行っています。農業用水の小水力エネルギーを最大限活用するとともに、自動節水灌漑システムと衛星データや土壌センサーなどを用いた、水資源利用の効率化を図るための取り組みを後押ししています。

  • 中央・西アジア局人間社会開発課首席教育専門官の田島英介さんに聞く 2022年3月2日 | Inside ADB

    中央・西アジア局人間社会開発課首席教育専門官の田島英介さんに聞く

    学校訪問や視察などは、ミッションの最大の楽しみです。教員や生徒の生の声を聞ける他、少人数のグループディスカッションや1対1のインタビューを通じて調査を行います。その内容をプロジェクトに上手く反映するために、滞在先のホテルでは、政府のカウンターパートやコンサルタントチームと、喧々諤々の議論を行います。さらに、プロジェクトの承認を行う理事会では、ミッションで出会った彼らの顔や声、また、熱い議論を思い出しながら、「絶対この案件を通すぞ!」と強い思いで臨みます。

  • 首席官房調整専門官の三田路加さんに聞く 2022年2月15日 | Inside ADB

    首席官房調整専門官の三田路加さんに聞く

    理事室は、各国政府の代表としてADB本部に所在し、理事会案件への対応の他、各国による信託基金などを通じた開発途上国の支援案件の調整や、ADB支援案件における関与向上などに取り組んでおり、官房はその総務団や理事団への根回しなどの仕事を任されている。

  • 東アジア局首席業務調整専門官の田村由美子さんに聞く 2022年1月13日 | Inside ADB

    東アジア局首席業務調整専門官の田村由美子さんに聞く

    ADBで働く上で、協働する相手国政府関係者や、支援の受益者と直接触れ合える現場にこだわってきました。より大きな仕事ができるポジションで働くことより、むしろ「この国のためなら」と思える国で働くことを優先しました。選択を迫られる局面では、いつも初心に立ち返ることを心がけています。

  • 中央・西アジア局運輸交通・通信担当課長兼タイ事務所長の岩崎秀明さんに聞く 2021年12月2日 | Inside ADB

    中央・西アジア局運輸交通・通信担当課長兼タイ事務所長の岩崎秀明さんに聞く

    ADBとしてタイ政府や民間セクターおよびその他の幅広いステークホルダーに対して、どのような価値をもたらすことが出来るのかなどが、最前線で仕事をする我々スタッフに課せられた課題です。

  • パンデミック下の途上国支援:危機を乗り越えるアジア開発銀行 2021年10月26日 | Inside ADB

    パンデミック下の途上国支援:危機を乗り越えるアジア開発銀行

    池田洋一郎・前 ADB 総裁首席補佐官からのメッセージ

    財務省広報誌「ファイナンス」2021年7月号に掲載されたものです。

  • 戦略政策・パートナーシップ局、戦略政策・ビジネスプロセス課長の冨永二郎さんに聞く 2021年8月31日 | Inside ADB

    戦略政策・パートナーシップ局、戦略政策・ビジネスプロセス課長の冨永二郎さんに聞く

    我々の長期戦略である「ストラテジー2030」は、SDGsや気候変動に関するパリ協定などの国際的なコンセンサスとADB業務をアラインすることを明確にしています。ストラテジ−2030は7つの優先課題に重点を置いており、そこには貧困、格差、保健、教育、社会福祉、ジェンダー、気候変動、環境、都市・地方開発、ガバナンス、地域協力等幅広い課題が含まれています。これらはすべてSDGsと直接リンクするもので、特にジェンダーと気候変動に関しては、ストラテジー2030の中であえて数値目標を掲げて鋭意努力を続けています。

  • チーフエコノミスト兼経済調査・地域協力局長の澤田康幸さんに聞く 2021年8月2日 | Inside ADB

    チーフエコノミスト兼経済調査・地域協力局長の澤田康幸さんに聞く

    経済調査・地域協力局では、SDGsの個々の目標に関わる調査研究活動を行っており、それらは、ADB加盟国に対する政策支援やADBの業務のサポート、そして他の国際機関やADB加盟国の諸機関との連携に役立てられています。

  • 南アジア局環境・自然資源・農業課課長の岡実奥さんに聞く 2021年6月29日 | Inside ADB

    南アジア局環境・自然資源・農業課課長の岡実奥さんに聞く

    私が担当する農業・水資源セクターは、高速道路や送電線事業に比べ、灌漑、洪水制御や農業組合の支援など、受益者の顔が見えやすいセクターです。現地視察に行くと、受益者の方に直接お礼を言われたり、実際に彼らの生活の向上を目で確認できたり、案件が人々の役に立っているという実感を得やすく、移動の疲れや実施段階でのストレスが一気に吹っ飛ぶ瞬間を何度も経験させてもらっています。

  • 法務部上級法務担当官の森田貴子さんに聞く 2021年5月18日 | Inside ADB

    法務部上級法務担当官の森田貴子さんに聞く

    私が所属する公共部門ユニットは、開発途上加盟国のための融資や無償資金協力、技術協力といった案件の準備段階から、地域局を中心とした関係部局との検討や調整を重ね、法律面や財務面での要件を明確化していきます。また、内規を満たしているかといったコンプライアンスチェックを行い、環境・社会的セーフガードや汚職防止など、案件の様々な段階で生じる課題について、必要な法的契約項目を貸借契約書に盛り込むと同時に、相手国政府などのカウンターパートとの交渉を通じて、合意内容をまとめた文書を作成します。

  • 東南アジア局エネルギー課課長の久保徹さんに聞く 2021年3月29日 | Inside ADB

    東南アジア局エネルギー課課長の久保徹さんに聞く

    ADBキャリアのハイライトとして真っ先に思い浮かぶのは、2011年頃、ドイツのボンに本部を置くUNFCCC事務局に、ADBの代表として9ヶ月間派遣された経験です。世界的な規模で気候変動対策基金を作り上げるために、環境エネルギー分野や災害対策など、幅広い知識と専門性、そして資金運用の経験などを兼ね備えた局長級までを含む関係者が集結し、50年後の未来を見据えて、世界に寄与するファンドはどうあるべきかを連日議論しました。

  • 太平洋局大洋州地域事務所長の立入政之さんに聞く 2021年2月26日 | Inside ADB

    太平洋局大洋州地域事務所長の立入政之さんに聞く

    太平洋の島嶼国は観光への依存度が高い国が多く、パンデミックによる渡航制限が経済に深刻な影響を及ぼしています。例えば、2020年のフィジーの経済成長率は、マイナス20%と予測されています。当面の課題はパンデミックへの対応と経済復興になりますが、中長期的には気候変動対策が大洋州での最大の政策課題になります。

  • 民間部門業務局首席インベストメントスペシャリストの橋都秀爾さんに聞く 2021年1月29日 | Inside ADB

    民間部門業務局首席インベストメントスペシャリストの橋都秀爾さんに聞く

    新型コロナウイルス感染症が世界を覆い続けている中、この1年間は在宅勤務が主体となり、取引先やプロジェクトサイトへの訪問に様々な制約が生じましたが、海洋環境保全事業に提供される「ブルーローン」という枠組みを活用し、ペットボトルのリサイクルによって環境への負荷を軽減し循環経済を促進することを目的とした、新たな融資パッケージに調印できたことをはじめ、計画していた業務の殆どを実施できたことは大変意義深いことでした。